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第1回 新宿御苑「浮かぶ」

都会の隅っこに、ひっそりと「隠れているお店」。ママの人柄と料理に、魅了されるひととき。

「浮かぶ」は、新宿御苑前駅から徒歩2分。でも、なかなか2分ではたどりつけない。路に迷うから。大人の隠れ家。都会の隅っこに、ひっそりとした佇まいで、本当に「隠れているお店」なので、扉の前に到着すると、安堵が広がる【1】。

浮かぶのママのシブヤメグミさんは、新宿ゴールデン街を遊び疲れてしまったような人を、そっと受け止めるような、実に可愛いらしい女性。浮かぶのお客様は、男女半々と言ったところ。面白い人が集まる。しかも、バーでありながら、アルコールを飲まれる方は半分と聞く。ママお手製のお料理がとっても美味しい。

メグミさんと知り合ったのは、たしか、柴草玲さんのライブの会場だった。同じ新宿で行われた手作りのライブで、受付を手伝われていた。小川美潮さんのお手伝いをされていたり、サブカルチャー方面に造詣の深いママさんなのだ。だから、諸々マニアックな私とも、すぐに意気投合した。

はじめてお店に伺ったときは、通好みの音楽や映画が好きな女の子の部屋にお邪魔させてもらってるような、そんな気持ちになった。話が弾み、料理が美味い。酒も美味い。

その後、2012年4月に、Twitterで新生姜の大ファンということで知り合ったコスプレイヤーのNさんと「飲もう!」ということになり、じゃあ二人きりも寂しいので、新生姜ファンのコスプレイヤーさんとオフ会をしようということになった。ならば「浮かぶ」がいいと、私がリクエスト。そのときは、メグミさんに新生姜料理を沢山作って頂いて、レイヤーさん30人と、楽しく飲んだ。浮かぶは10人も入れば席も埋まってしまう小さなお店だから、このときは、貸切り、立ち呑み。しかも2部入れ替え制にした。新生姜の料理は大評判。新生姜の肉巻き【2】、新生姜のピザ、新生姜タルタルでの温野菜【3】、新生姜の竹輪くるくる巻き【4】。そして、丸かじり新生姜。集まったレイヤーさん達は20〜30代の素敵な男女で、みんな新生姜を片手にポリポリとかじりながら、缶ビールをたのしく飲まれていた。コスプレイヤーというのは、アニメやゲームのキャラクターになりきって写真を撮影したり、イベントに出演したりする人なのだが、なかなか理解を頂けない存在だったりするかもしれない。しかし、やってらっしゃる方々は、実際に話してみると、実に魅力的なのだ。一般には理解されにくい「好きなもの」を持っている人というのは「それでも好きだ!」という覚悟が決まっている分、美しいのである。そういう意味ではコスプレとは何の関連もない「浮かぶ」という空間に集うコアな人たちとも何か共通点があるような気もする。(この夜の「社長もコスプレやりなよ」の一言ををきっかけに、その後、私も一度だけ「魔法少女まどか★マギカ」の暁美ほむらのコスプレをして、レイヤーさん達と専門スタジオで写真撮影することになったのだった。)

レイヤー新生姜オフ会の後も、「浮かぶ」は、東京の夜、疲れ果ててしまったなというようなときに、立ち寄らせていただく頻度が高まった。狭い空間だから、初めて会うお客ともすぐ仲良くなるし。とても楽しい。取材お断りのお店。こうして紹介させて頂けるのも、ご厚意なのだ。メグミさんは岩下の新生姜が大好きで、よく特製の新生姜料理をつくって、お客様に出されているようだ。評判だと言う。有り難いことだ。

社長飲食店めぐりのコラムを始めるにあたり、数ある候補の中から第一回に選ばせて頂いた。取材(?)は、4月15日。遅筆で、三ヶ月も経ってしまいましたが、その日の報告を。

この夜の浮かぶ一品目。温ブロッコリーに特製新生姜タルタルソース【5】。めちゃ旨。秘伝ご紹介。岩下の新生姜とマヨネーズをミキサーでうぃーん。味付不要。それだけ!なのに信じられない、ソースめちゃ美味しい!ドライバジル少々。最高。ソースだけを求める人もいらっしゃるそうだ。

二品目。新生姜ポークパイ!【6】自家製パイ生地。細かくした豚細切れ肉と食感を生かすために細長く切った新生姜、そして新生姜の漬け液を混ぜて四時間ほど漬け込み、油を使わずスライスした玉ねぎと共に焼き上げた一品とのこと。逸品!忘れがたい。

この夜は、浮かぶのCD棚から、東京スカパラダイスオーケストラ『ライブ』をリクエスト。91年の最初のライブ・アルバム。懐かしさに、延々リピートして、夜が更けた。お酒は、喜久盛酒造の銘酒「タクシードライバー」。旨い。根本敬画伯による「電気菩薩」の瓶を眺めながら。

浮かぶは小さなお店なので、特にメニューが決まっているというわけではない。この日は、私が行くと言ってあったので、特別メニューとして、新生姜料理を出してくださった。お訪ねになられる方があるなら、ぜひ、事前に「新生姜のアレを」と連絡頂ければ、きっと用意してくださることでしょう。たとえば、こちら、5月頃のお通しだった、新生姜入りコールスロー【7】。春キャベツのほのかな甘味と、岩下の新生姜の静かな存在感が、素晴らしい。

みなさま、ぜひ一度お訪ねくださいね。「浮かぶ」のことは、『ツイッターから生まれたFANBOOK〜We Love岩下の新生姜』のp.73にも紹介しています。

  1. 扉の前【1】
  2. 新生姜の肉巻き【2】
  3. 新生姜タルタルでの温野菜【3】
  4. 新生姜の竹輪くるくる巻き【4】
  5. 温ブロッコリーに特製新生姜タルタルソース【5】
  6. 新生姜ポークパイ【6】
  7. 新生姜コールスロー【7】

お店情報

浮かぶ
住所 〒160-0022
東京都新宿区新宿1-30-12 ニューホワイトビル地下A
電話番号 03-3350-8075
営業時間 19:00〜24:00(LO 23:30)
定休日 火曜日(その他不定休はFacebookにてお知らせ)
URL https://www.facebook.com/ukabu?fref=ts

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